誓願寺

誓願寺は、京都市中京区新京極通三条下ル桜之町にある寺院。
洛陽三十三観音、洛陽六阿弥陀、新西国三十三観音、円光大師法然上人二十五霊場、鏡知国師西山上人十六霊場、慈摂大師真盛上人二十五霊場などの札所になっている。

謡曲誓願寺
作者 世阿弥
季節 三月
場所 当山

登場人物前シテ 女
後シテ 和泉式部
ワキ 一遍上人
ワキツレ 従僧二〜三人

<前半>
 一遍上人熊野権現に参籠し、「南無阿弥陀仏決定往生六十万人」の札を弘めよとの霊夢をみる。
 都へ上り、念仏の大道場、誓願寺で御札を配っていると、一人の女性が御札の言葉を見て、「六十万人より外は往生できないのでしょうか」と問う。上人は、「これは霊夢の、六字名号一遍法、十界依正一遍体、万行離念一遍証、人中上々妙好華の四句の上の字をとったものであり、”南無阿弥陀仏”とさえ唱えれば誰もが必ず往生できる」と説く。すると女性は有り難がり、「本堂の『誓願寺』の寺額に替え、上人の手で『南無阿弥陀仏』の六字の名号をお書き下さい。これはご本尊阿弥陀如来の御告げです。私はあの石塔に住む者です」と、近くの和泉式部のお墓に姿を消す。<後半>
 一遍上人が『南無阿弥陀仏』の名号を書いて本堂に掲げたところ、どこからともなく良い香りがし、花が降り、快い音楽が聞こえ、瑞雲に立たれた阿弥陀如来と二十五菩薩と共に、歌舞の菩薩となった和泉式部が現れる。
 誓願寺天智天皇の勅願によって創建された縁起が語られ、阿弥陀如来西方浄土より誓願寺に来迎される模様などを描く荘厳優美な舞が舞われ、最後は菩薩聖衆みな一同に本堂の六字の額に合唱礼拝するのであった。

「立て看板より」